カンボジアの工房を訪れたもう一つ理由。
革用ミシンと漉き機を直す事。
調子が悪いと聞いていたミシンを修理し、少しでもこの旅の手配を手伝っていただいた方へ恩返し。
高温多湿、電圧220V。日本と状況が違う。
まずは一人で始める。
写真だけで修理箇所を確認していたがやはり情報不十分。
道具が足りない、人手が足りない。
工房の方に手伝ってもらう。
言語は日本語とクメール語。ときどき英語。
お互いに話したい事、聞きたい事があるから一生懸命つたない言語や身振り手振りのボディーランゲージ。
疎通が取れているかを、表情や態度で確認し合う。
間違って伝わらないように一つ一つを確認する。
緊張もあるが作業を通して少しずつ打ち解けてくる。
自然と笑顔になる。
肩の力が抜け探す言葉が迷いを通り越して、ただ伝わりやすいようによりシンプルになる。
修理をしながら談笑しているものだから、周りに人が集まってくる。
面白いことしている訳じゃないけどね。笑顔に釣られてみんな集まる。
現地のスタッフ方々が慕われていることがよくわかる。
カンボジアの人々の温かさや優しさもよくわかる。
修理しながら気づくことがあった。
目の前で見て感じていることが、この工房で作られているモノの裏側にある物語の一つだと。
無自覚で無防備に気持ちが飛び込んできたから、少し笑ってしまう。
なにを見てたんだろう。
言葉で良さを説明するのは安易に出来るけど、少し軽過ぎる。
相手に伝えたいことを、ぎこちなく時間と愛情をかけて受け取り合うこと。
モノ作りにとても大切なこと。
楽しく作られたモノの楽しさが、波紋のように輪になって外に拡がっていく。
輪と輪が振幅し同調する。
持っているモノが笑いかけてくるような感覚。
理想論かも知れないけれど、そんな作り手が増えたら世界は平和になるのかもしれない。
モノ作りはそれほど人に生活に近いものだと思うから。
カンボジアの近代史は目を覆いたくなるような出来事がたくさんあった。
以前にカンボジアを訪れるたときは、たくさん近代史を読んだせいでフィルターのかかった眼でカンボジアを見ていたんだろう。
今回は違う。
人、生活、モノ、歴史、環境をありのまま感じられるように。
ここにはカンボジアの喜びや嬉しさや一部悲しさも含む手で作られたモノがある。
一つ一つの作業に生命をかけたような力を感じることができる。
場所に根ざした道具がたくさんある。
革を染めたり、イ草を染めたりする炉。
みんなで知恵を出し合い、最善を尽くしたもの。
機会化することなく手間をかけて作り上げる。
日本から飛び出し、外に出なければわからなかったこと。
ここだからこそ生まれるモノたち。
これからどんなふうに変化していくのかとても楽しみだ。
力強く生きていくこと。
言葉は単純だけど、難しく簡単なことではない。
だからこそ、そこに胸を打つ何かがある。
そんな強い糸が一本織り込まれている。
「物語のあるモノ」
そんなものが欲しい。
そんなものを作れる人になりたい。
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