革モノ作りを始めてから15年近く経ちます。革で鞄を作ったり、小物を作ったり。あれやこれやあれやこれ。
革に触れ、革モノ作りして見聞き感じて得た革知識。
牛さん、豚さん、羊に山羊に馬に・・・・。いろんな革がある。生きている動物たちの革だからできる限り大切にモノ作りをする。
革のお話しをするときに鞣しのお話しをします。例えば革とは皮がなめしをされて革になるんだよ、なめしにはタンニンとクロムが使われているよーなどなど。
革の事を知ってるぞーってオーラを出しているものの、なめしのことよくわかっていないぞってハッと気が付いちゃったんです。
化学的なもんだからと線を引いて自分と隔ててしまっていました、なんも考えず(笑)
猟をしているから皮を手に入れているのにどこか革とは結びついておらず。だからなんもしないで廃棄処分になってしまう皮たち。
んーいいのか、自分!!違うだろー自分!!!
というわけで、shujiworksはなめしを学ぶことにしたんです。今回は一人フィールドワークです!
しかし、なにから手をつけようかと考え革の先輩職人や革屋さんなんかにお話しを聞きに。そしたらあるじゃないですかー皮革技術を学ぶ道が。ふふふ。
そしてshujiworksは皮革技術者研修を受けに行ってまいりました。革の製造の研修生になるのです☆おおーかっこいいっーなんか!
だいたい10日くらい講義と実習。だいたいが革屋さんかタンナーで働いている人でした。ちらほら靴や鞄の関係者。(じゃないと研修生として受け入れてもらえないみたい・・。)
振り返って書くのですが、ものすごーい濃い内容でしたー!こりゃ研修生になってよかったーやってみにゃーわからんことだらけ。施設や薬品を自分で揃えたら大変だもんねー。んー鞣しって濃い深い☆
講義はこんな感じでした。
「皮革の基礎知識」から始まり「原料皮」「準備作業」「鞣し(なめしと読みます)」「再鞣し」「染色・加脂」「仕上げ」「コラーゲン」と講義を受けてから実習に入ります。
どれもこれもおもしろい講義でしたがとてもとても書ききれないのでこんな講義だったよーって例をひとつ。
「皮革の基礎知識」→ 世界の鞣しの始まり(燻しなめしや口かみ7)を歴史を追って説明し、日本に的を絞った鞣しの歴史のお話しを聞きました。そしてなめしの定義や皮革の組織、各種の革の組織。鞣し工程の概要のお話しを聞きます。shujiworksの勝手なの印象的面白かったお話しは、大和時代493年に高句麗から2名の革工を呼び製革が始まったこと(思っていたより革の歴史が深い)。明治の1869年からタンニンなめしが導入されたこと(思っていたよりタンニン革の歴史が浅い)なんかかな。
すごーく面白い講義でしたーご興味ある方は是非に研究生になってみてください!!おすすめ☆
そして講義が終わり、いざ実習へと入ります!!さーマニアックな世界の始まりですーようこそ。
以下が実習の大まな流れです。
一日目 塩蔵(腐らないように生皮を塩漬けにしてあるんです)豚皮の仕込み、水漬け、脱毛・石灰漬けでお昼食べて銀付き皮の仕込み
二日目 再石灰漬け
三日目 脱灰、ベーチング(酵解)、ピックリング(浸酸)、クロム鞣し
四日目 塩基度調整、馬掛け
五日目 ウェツトブルーの再鞣、染色、加脂、吊り干し
訳がわからないと思いますので、細かく見ていきます。
塩蔵 → 豚皮以外も牛や山羊や羊や爬虫類などなど、そのままにしておくと腐っていきます。なので皮を塩漬けにすることにより菌の繁殖を防ぎ腐敗しないようにするのが塩漬けの主な働き。塩蔵以外にも乾燥(水分量12%以下)や冷凍という保存方法もあります。しかし塩蔵に比べコストがかかる、品質が落ちる等の理由でやっぱり塩蔵ナンバー1。冷凍保存も良さそうだけど、輸送やタンナー(皮をなめして革にする工場)にも冷凍設備が必要になってしまいますね。
仕込みと水漬け → まずは塩抜きをします。鞣すときに塩と汚れが邪魔になるので水で洗い落します。同時に水分補給をし、防腐処理をする薬品も加えます。なんで水分補給かっていうと、塩のせいで皮が脱水されちゃうんです(塩漬け前の皮は水分量65%ほどが40%ほどになる)。きゅうりの塩揉みみたいに。あと汚れなんかも洗ったしまいます。界面活性剤をいれてあげて。これはわかり易い☆
脱毛・石灰漬け → 薬品を加えてPhをアルカリ(塩基)にします。アルカリにするとたんぱく質は溶けるのと、膨張し脱毛しやすくなる。また繊維をほぐす効果もある。その後に分割(薄くする)や垢だし(きれいにする)をします。
ちなみにここで皮のギン面(表面)の状態がわかるので、品質を分けることもします。
再石灰漬け → 皮を膨張させてほぐす目的。繊維を本格的にほぐします。靴の甲革は省略したりもするそうな。
脱灰・ベーチング(酵解) → アルカリ性になっている皮を中性に近づけます。鞣しに使う薬品は酸性のものが多く、そのままだと表面で急激にアルカリ性と酸性が反応してしまうため。試薬をつかってPhを見ます。なんか高校時代の実験を思い出す。酵解も聞きなれない言葉ですが、酵素の働きで皮に残っている毛根やたんぱく質、脂肪を取り除いてあげること。驚くことに豚や牛の膵臓からとるパンクレチアンという酵素を使います。よくできているなー関心♪
ピックリング(浸酸) → 皮を酸性にします。鞣し剤が入りやすい状態にします。アルカリ性だとうまく入らないので。
ふー駆け抜けたー休憩。
さーここで鞣しってなーにを改めて。
皮を革に鞣すことで⓵耐熱性を与える⓶耐薬品性を与える⓷保存性を与える。とくに普段重要なのは⓷ですね。腐敗しないよーにしなやか(水分の量が変化しない)であれ。また耐細菌性(すぐ菌がはえないように)ですね♪
なめしには永久鞣し(上記⓵~⓷を満たすもの)と疑似鞣し(よく聞くミョウバン鞣しはこちら。ミョウバンは水分で溶け出してしまうので。ほかホルマリンなんかも)があります。クロム鞣しとタンニン鞣しはもちろん永久なめし☆ちなみにミョウバン鞣しは高級な毛皮の鞣しに使われています(いまは違うのかなー?)鞣し作業でアルカリ性にすると毛が痛むためだそうです。へー!
さー再度実習に戻ります。
クロム鞣し → 重金属であるCrを使って革を鞣していきます。タル(洗濯機のようなもの)に皮とネオクロムという薬品を入れて回します。いっきにやらず4回に分けて投入。緑色をしていてなかなかきれい、見ようによっては毒々しいけど。ある程度まわしたらそのまま一晩つけっぱなしします。
塩基度調整 → Phの調整をします。いまは酸性なので、塩基性側に少し戻します。戻したら乾燥させないように4~5日保管します。今回水絞り(余分な水分を絞り取り、革を伸ばす)とシェービング(肉面を削り、厚さを調整)は外注になりました。残念・・。やりたかった工程だったのに・・・。
再鞣し → 戻ってきた革(皮でなくなりました)を脱脂し、再鞣しをします。用途(靴や衣類など)により柔らかくしたりするのでこの工程をします。
染色・加脂 → 見た目のために染色と革のしなやかさを出すために加脂をします。脂を取ったり入れたり忙しいーですね。
固着 → 薬品を入れて革の中に入っている薬品類が抜けないように栓をするイメージです。そして水洗いをして乾燥させます。
ふーーーこれで鞣し作業実習が終了です!!このあと塗装もしますがこれは普通にスプレーガンで吹くのに飛ばします。
そんなこんなで実習終了!!
たくさんたくさん書きましたおかげで頭の整理ができすっきり☆皮革技術の触りだけですが、鞣しってなんだろうがわかった気がします☆
自分でも試してみたいけど薬品の数が多すぎですね(笑)こりゃー!!ミョウバン鞣しは薬品も廃液も少なく済みそうなのでできますが。
おかげで自分でできること、できないことの線引きができたことが大きな収穫でした。無事に研修生終了ー!!
講師の皆さま、皮革技術研究者の皆さま、楽しいお時間をありがとうございます。shujiworksは少しおりこうになりました。なにかしら違うカタチで恩返しできたらよいなーと思います!!
最後に
皮を革に変える作業(製革)を試行錯誤してきた先人がいたおかけで今の皮革があります。頭が下がります。おかげで楽しい革モノ作りをさせていただいています、ありがとうー!
こうしてshujiworksの「皮革技術を学びに行く」一人フェールドワークが終了☆☆☆
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