縁のお話
縁とは仏教用語でもともとは円を表す言葉である。円と円が触れ合う場所は一点。それが「縁」
とてもしっくりくる。
田舎は全員知っているような小さい町だった。
会う人会う人みんなにあいさつをするそんな町。
違う家でご飯を食べることも多々あった。
大体自分の家以外に友達のお家。メインとなるお家は4軒くらい。18時前後にいるその友達の家にいると「食ってけー」となる。
そんな場所。
東京という違う場所に初めて住みだしたとき、人との境がわからずに困惑した覚えがある。
どこまでが円に入ってよいのか?縁なのか?
知らない人にもあいさつしていた自分。東京では奇妙な目で見られた。今は判る。
当時の自分は分からなかった。東京という洗練された土地のせいかなって思っていた。
いま工房の隣の方からご飯をもらった。
だから、なんかそんなことを思い出してしまった。
時々、隣の方の固くなったビンを開けたり、壊れた引出しの取っ手を直したり、重い荷物を動かしたりする。
お礼というわけじゃないけど、円と円が触れ合ってご飯を食べさせてもらっている。
仕事をしているとよく使う「忙しい」という言葉。初めての場所で境が見えずに自分がわからなくなる。
どんな理由であれ、自分の円を小さくするのはさびしい気がする。
自分の円に触れた円にできる限り誠実にすることができなくなってしまうから。
楽しく生きていく、楽しく仕事をしていくにはとてもとても大切なことだと思う。
ついつい忘れがちなこと。
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