少しずつ書き足しているイタリアで出会った人たちのお話。
羊皮紙工房のパウロさんについて記していこうと思います。
日本には羊皮紙工房という場所はありません。まったくの未知の工房を案内していただけるということで、とても楽しみにしておりました。
場所はイタリアのフィレンツェ。パオロさんという職人さんが一人で製作や販売をしている羊皮紙工房。
初めて出会う羊皮紙という素材。革とはまた違う皮。
どんな質感でどんなモノに変身出来るのか、自分だったらどんなモノを作りたいと思うのか。
可能性は拡がるばかり。
ちなみに帰国し後々のお話となるのですが、パオロさんと羊皮紙の出会いのおかげでshujiworksは羊皮紙に興味を持ちます。
人生はどんなところに出会いがあるかわかりません。目標を定め狙うこともありますが、偶然に転がり込んでくることもあります。
不思議なものです。いつくるか予想もできません。
まずは羊皮紙とはなにか。
羊皮紙に入っている漢字そのままなのですが、羊の皮で作った紙。記録を取るための道具で身近にある類似した用途のものは紙です。
紙(酸性紙、中性紙、和紙など)が開発される前のお話。
エジプトではパピルスが栄えます。日本では和紙が使われます。ヨーロッパでは長い間、羊皮紙が使われてました。
羊皮紙はとても貴重なものなので、一般的な用途ではなく聖書や地図や楽譜など特別なモノに使われていたそうです。
間違いないようにしなければいけないのは、羊皮紙は「革」ではなく「皮」です。
革になるための工程である「鞣し」をしてありません。脱毛し表皮を取り、裏の皮下組織を剥がし、真皮であるコラーゲン層を乾燥させて張り製作したものです。
tanakaさんの紹介で羊皮紙工房パオロさんのところを訪れました。
羊皮紙の名は聞いたことはあったのですが、目にしたことがありませんでした。
羊皮紙と似た素材として、豚の生皮(キガワと読みます。花やランプシェードなどの製作に使われます)というものがあります。羊皮紙同様に真皮を乾燥させて乾皮にしたもの。
生皮と似たものと想像していたのですが、異種の動物ということもあるのですがそれだけでなく別な素材であることは一目瞭然でした。
平面になるように張って乾燥された形状は、ヤスリやバフを使って滑らかに加工されています。
初めて触る羊皮紙。
吸い付くような、ずっと触っていたくなるような魅力的な質感を持っています。
羊皮紙で作った作品を見せてもらいます。
パオロさんは羊皮紙を使って、箱やオブジェを製作する職人さん。
依頼を受けてコンセプトを相談し合い、素材や表現方法を選択しお客さまと二人三脚で製作する方法を取っているそうです。
植物、動物、昆虫などパウロさんが魅力を感じるものを作品に取り入れ作ったものがたくさんありました。
製作の資料がたくさん工房にはあります。どれもこれも心を揺さぶる強さを持ったモノばかりでした。
羊皮紙は日本では特に使用されていません。
ですがイタリアでは公文書などの大切な文言を後世に残したい場合、羊皮紙に記しアナログ媒体として保存しているそうです。
1000年以上も持つとされ時間の洗礼を受けない羊皮紙はそれだけ信用された筆写素材であり、だからこそ今もなお製造され続け公的機関でも使用されています。(インクには虫こぶを使ったタンニンのインクを使用するそうです。)
パウロさんのお話だとその他の用途として代価ガラスとして窓に使われたり、家具や照明にも使っていたと教えてくれました。
初めて出会った羊皮紙という新しい風は、shujiworksの製作意欲を掻き立てました。
革の事は大部分を把握しているつもりでしたが、未開の素材でした。
存在は知っていたけれどなんで今まで探求しなかったのか自分でも不思議です。。
帰国したらもっと知識を深めるためにも書物を手あたり次第に調べてみようと思いました。
羊皮紙のことを教えていただきましたパオロさん、tanakaさんには感謝が尽きません。
革に関わることならどんなことでも貪欲に知りたいので、この機会を無駄にせず自分も羊皮紙作りを一から試してみたいと強く思いました。
そしてshujiworksは帰国し羊皮紙作りを始めることとなります。
それはまだ後日に書きたいと思います。