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2018-11-29

鋳物で作る金具 -Casting metal fittings-

鋳物という言葉があります。

普段は聞くことのない「鋳物」という言葉、革に限らず金具を使ったモノ作りをしているとそれとなく耳にすることがあります。

鋳物とは、多種の金属を熱して溶かし、型に流し込んで形を生産する技術。

目にする大量に生産されたような金具は鋳物という技術を使って作られています。


革モノ作りをしているshujiworksは真鍮金具をよく使います。もちろん鋳物で作られた金具たちです。

灼熱に溶けた真鍮原料が一つ一つ砂の部屋の中で冷えて固まり、お化粧をされて手元に届いています。


革で使われる以外の身近な鋳物の金具だと、住宅の建具などがそれにあたります。

昔は貨幣にもつかわれていたようです。

よく見ないと気がつきませんが、鋳物で作れた金物たちは日常に溢れています。


shujiworksは今回ご縁があり、浅草から15分ほど歩いたところにある金具屋さんを訪れました。

その金具屋さんは、砂を使って型を取りそのくぼみに真鍮を流し込み金具を製作しています。

金具作りは、まず作りたい金具のモデルを硬質のもので製造し、それを砂型にはめて上下の型を取り、凹みに金属を流すカタチを作ります。その後、研磨や薄い塗装を施し商品として送り出されます。

自分も初めて見ました、こちらが金具のモデルを製作したものです。

製造のし易さや金属の流し易さを考慮し、丸みのある暖かなデザインのモデル。

長年培った製造のノウハウがあるからこそ出来るデザインだそうです。

ただカッコいいものだけを作るだけじゃないところがさすがです。

そして次は砂型に金属を流し込んだ直後の写真。

このパーツを砂型から外し、湯口(金属を流し込む道)を切ります。

まだ武骨な感じの金具。そのままでも十分な魅力を感じます。

出来立ての真鍮金具は酸化し黒色した状態でカタチを成します。

軽く研磨したものがこの写真。

鈍い光沢をもったマットな仕上がりです、洗練された曲線は優しい印象を与えています。

表面のテクスチャーひとつで金具が別物に見えてしまいます。


製造工程を社長さん自らがお話してくださいました。

技術者として、金具作りのこれからを見据えたモノ作りの熱いお話しは学ぶべきことがたくさんありました。

一部の金具の材料には昔の水道管や真鍮の廃材を使って製造しているものもあるそうで、大変興味深い話でした。

金具作りの業界の過去現在のお話しも聞かせていただきました。

熱意のある社長さんの作った真鍮金具は物語がたくさん詰まっていて是非に使いたい!思いました。

楽しい時間もあっという間で気が付くとだいぶ時間が過ぎてしまい、お邪魔になり過ぎないように金具屋さんを後にしました。


電車に揺られながら工房に戻る道中に考えます。

何気なく使っている金具も知れば知るほどいろんな人の思いや物語が存在し、日々試行錯誤を繰り返し手元に送られてくることを。

知らないだけで済ませちゃ勿体ない事がたくさんあるんだろうなと。

また金具側の熱に負けないくらいの熱でこちらも革モノ作りしなくてはもったいないと改めて思いました。気を抜いたら負けちゃいそうです。

そんなことを想いながら工房へと戻るのでした。

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