革を簡単に買えない国がある・・・そんなお話
革でモノ作りをしている人はたくさん居ます。
自分を含み革モノ作りしている人たちは、革を買おうと思ったら浅草や浅草橋に行き、お店に入り好きな革を選びお金を払ったら購入できます。
日本では普通のことです。
ですが、日本を離れイタリアに行くと革もの作りしている人は困ったことになります。なんとお金を払ってもそうそう簡単に買うことができないのです。
もうひとつ、日本だと趣味として革を始め製作が楽しくなり、クラフトイベントに出たりお店に置いてもらったり販売サイトに掲載したり出来ます。
ですが、イタリアでは日本のように気軽に始めることが出来ません。
国によっては自分の可能性を試す事(やりたいから始める)が叶わない場所があることを知りました。
フィレンツェの駅からトラムに乗り、30分くらいの中心地から離れた場所に一軒の革屋さんがあります。
駅を降りて周囲を見渡すと、住宅と小さな飲食店がポツポツあり栄えているとは少し言い難い雰囲気。
そんな駅から10分ほど歩くとその店はあります。
外観は本当に革屋さんかわからないです。住所を知っているからなんとかナビを使って見つけられる、そんな場所。
インターホンを押し来訪理由を伝え、入店します。
いろんな革が所狭しと並んでいます。
話を聞くと、ここは学生さんや国外から来た方々が買いにくる革屋さんだそうです。
先客として韓国の方と思われる方が居りました。
棚にある革を触ったり、開いて見せてもらったりします。
お店の方が一つずつ説明してくれます。
牛革に、豚革に、羊、山羊、爬虫類まで。なんでもあります。
タンニン革もクロム革も混じりながら置いてあります。
一通りを見て好みの革を見つけることが出来なかったので、今回は購入を諦め革屋さんを後にします。
帰り路にきょろきょろと周りを見ながら駅に向かいましたがやはり他に革屋さんはありませんでした。この手のお店は問屋街のように似た店が近くに並ぶイメージがあるのですが、近辺にはあるのはここの一軒だけのようでした。
革の国であり、手工業の町であるフィレンツェなのに不思議な感じがします。
そんな気持ちを持ちながら、トラムに乗りフィレンツェに戻ります。
その夜にイタリアにて革もの作りをされている方とご飯を共にし、気になったことを伺ってみました。
聞くと予想外の答えが返ってきました。
なんとイタリアでは、少額でも収入を得る行為、仕事に繋がるような行為をする場合には国に申請をし登録をしてからでない違法とみなされるそうなのです。
(日本でいうところの法人格的なイメージらしいです。なにもしなくても日本のように法人税的なものがかかるそうです)
だから業務用とみなされるもの(例えば革や革の機械・道具など)を購入したり、利益が出る販売等の行為をすることが簡単には出来ないそうなのです。
平たくいうと脱税を出来ない仕組みとなっているそうです。
なるほどと感心してしまいます。
世界にはいろんな国がありますが、日本のように革を気軽に始められることが普通ではないということを知りました。
自分を試すことが場所によっては気軽にできない事は、とても息苦しく未来を描きにくくするんだと当たり前じゃないことを知って気が付きます。
試すことで失敗したとしてもその中から学びを重ねて行けば、少し前進しきっとより良い自分の生き方を選択出来る気がします。
選択できることは幸せで贅沢なこと。
試せる国である日本で良かった、もうひとつ日本の良さに気が付くことが出来ました。