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2017-12-05

みんなが嬉しいモノ作り① ‐Field work abroad‐ カンボジアにて

質問がひとつ。

あなたはどんなものが欲しいですか?


少し考える。うん、やっぱり。

具体的な生活用品一般(主に道具類)で欲しいものはたくさんあるが、僕はこう答える。

「物語のあるモノ」

すべてそうであって欲しいと思う。


モノのウラに本来見るべき姿が見える。

歴史や場所から繋がる縦糸・横糸が手の上で織り重なる。

作り手の想いやその人を形成する不可欠なストーリーすべてが詰まって出来上がったモノ。

計算されたブランディングでなく、もっとシンプルに鮮烈でリアリティーがある。

ときには見たくない部分さえ包含している。


仮想世界ではたくさんの情報が溢れ、匿名の誰かが誰かに伝え、間断なく巨大なものとなり、人一人では見渡せないものとなっている。

「これは良いものだ。」「価値は~~だ。」

参考にはなるけど、断言されるのは僕は苦手。

自分の価値は自分で決めたいから。

でも、どんな価値も簡単には決められない。持つものでさえも。自分の頭や手足を使って、すくい取るようにしなくては。

価値とは周りから押し付けられるものでなく、至極個人的な思い入れでありそれ以外には価値のあるモノはない。


欲しいものは身に付けていると、または持っていると滋養を与えてくれ心強く支えてくれるそんなもの。

身に覚えのある人はたくさんいると思う。

そんなものが欲しい。


カンボジアのクシャ村というところに革とイ草と帆布を使ってバッグやサンダル、小物を製作する場所がある。

僕らはそこを訪れるためにカンボジアに来た。

そこはNGO(政府間協定によらずに設立された国際協力組織。非政府組織。)が運営している工房である。

貧困を理由に人身売買されてしまう現状にある女性たちを雇用し、トレーニングを積み日々モノ作りをしている。

モノ作りのみならず生きるためのスキルを育て、逞しく自活できるように。置かれた状況に負けないように。


一人の女性に話を聞く。

工房に通っている女性で今回、彼女のお家でお話を聞かせてもらった。工房から原付で5分くらい。

「あなたの夢はなんですか?」

まだ20代。日本にいると常套句のように聞かれるその言葉。

NGOの日本人スタッフの方に通訳をしてもらい聞いてもらった

彼女は答えない。

そしてスタッフの方が理由を話してくれた。

「一日働いて4ドルの仕事をしていた。米の収穫の手伝い。収穫期のみの仕事。お母さんは亡くなり、お父さんは新しい女性の元へ。姉妹5人で暮らしていて日々暮らしていくことを考えている。夢というのは定期収入がないと描きにくいものなんです。そもそも夢という先のお話しを考える概念があまりないんです。」

「いま工房で働いて定期収入はあるが、家族を養うために頑張っている。学校も行っていたが辞めてしまった。」

黙っていた彼女が話してくれた。

「いま働く場所がありとても嬉しい。みんなと一緒に学んで働いて一緒にご飯を食べている。そして家族が養える。」

「お家をもっと大きくしたい。そして家族でこれからも仲良く生活していきたい」

前を向き、目をキラキラさせながら少し恥ずかしそうに聞かせてくれた。

夢の鱗片を見せてくれた。

今はイ草を編むリーダーをしているそうだ。誇らしげに自分の仕事のことを話してくれた。

繋がっていくこと、繋げていくこと。自覚的役割と無自覚的役割。

自分を含む小さなもの達が、小さくも意味を見つけ声を出し求めることの世界が良い。

与えること、与えられることを自然に穏やかに笑顔があって出来ると良い。

モノに織り込まれている糸を一本一本確かめていく。

今できること。



みんなが嬉しいモノ作り➁ に続く

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