千葉県にある港で調査捕鯨をしている場所がある。
現在、日本に4ヵ所ある港のうちのひとつ。
日本では縄文時代から鯨を獲っていた記録が残る。食料、燃料、ときには香料として利用されていた。
時代は移り、世界の流れの中で調査捕鯨というカタチで残る文化。
先輩方にきくと身近な存在であった鯨。自分の時代では、なかなか見ることのなく、関係性も薄い存在。
狩猟やスピアフィッシングをしているため、文化的というより鯨と人の現在の関係性のほうに興味がある。
数年前に友人から調査捕鯨の話を聞き、機会があった見てみたいと思っていたところ捕鯨の知らせを聞いた。
捕鯨をされて海岸に横たわる鯨。
体調14m近いツチクジラ。
海中でお腹を割り、体温を下げて質が低下しないようにしてある。
いまから解体場にウィンチを使ってあげられる。
大きなイルカという感じがする。
目はぼんやりとして、解体が始まるまでおとなしく待っているよう。
海にいる鯨を見たことがあるが、存在する場所が違うだけでこんなにも違うものに見えてしまうことに驚く。
解体が始まる。
薙刀のような、山刀のような昔から少しずつカタチを変えて受け継がれてきたであろう解体道具。
ツルッとした皮膚を刀がスッと筋をつけていく。刀の切れ味が仕事に対する誇りを感じさせる。
4.5人がかりで周りを囲み、与えられた役割りを実行していく。
時折、聞こえないような小さな指示が飛ぶ。真剣な顔、少し笑みを含んだ顔。黙ってコクりと頷く。
首にある肉にウィンチを絡ませ、皮下脂肪と筋肉を裂くように剥がしていく。
おのおのが生きるためにいろんなことをしている。
生命を獲り食べる事を大小に限らず肯定も否定もできない。その時代にその場所にいる人しか理解できないことがあるのだ。
世界にはいろんな考えが存在し、多様な世界が混ざり合ってなんとかやっていることが素敵なんだと思う。
成り行きで目の前にあるもの。
どんなものであれ無駄にせずに次に繋げていく。
それらを個が考えることが大切な気がする。
差がある生命なんてないのだから。
いろんなことを見て感じること。
わかった気にならないで、五感で感じること。
少しずつだけどやらなきゃいけないこと、これからどう生きたいかが見えてくる。
難しいことだらけだけど、受け手ばかりにはなりたくないと思うのです。
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